ピッチ走法とストライド走法とは?走法別に適性と狙い目を理解しよう
今回は競馬の走法ということで、ピッチ走法とストライド走法について書いていこうと思います。
映像分析を主とする方であればご存じの内容だと思いますが、走法の違いによって条件が変わった時の一変が期待できるパターンがあります。
競馬初心者の方でもわかりやすい内容で作っていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ピッチ走法とストライド走法とは
競馬の予想で競走馬の走法を中心視している方はごく少数だと思いますが、ピッチ走法、ストライド走法ともに理解しておくと、もっと予想に深みが出てきます。
私自身も走法や手前などを理解することによって一変する可能性のある馬を見つけられるようになりましたし、レース映像から得られる情報量が多くなりました。
まず私たちが走る時もそうですが、走るという行為はストライド(距離)とピッチ(回転数)が重要で、それぞれを掛け合わせることによって速度が決まります。
ピッチ走法とは
ピッチ走法と言うのは一完歩(人間でいう歩幅)が短く、脚の回転数を上げて走ることをいいます。
速度を出すためにピッチ(回転数)を上げて走るので、レースを見ていても脚の回転が速く、前脚を掻き込むように走るように見えるかと思います。
ピッチ走法の馬を見極める基準としては明確なものが無いのですが、他の馬よりもピッチが速い馬はピッチ走法と括り付けて私は考えています。
ピッチ走法がわかりやすい馬としては
- エアスピネル
- アストンマーチャン
- ドリームジャーニー
- オルフェーヴル
- ラッキーライラック
などが思い浮かんだので、気になる方がいたらYouTubeなどで見ていただけるとピッチ走法の走り方がすぐに理解できるかと思います。
半径の小さい小回りカーブが得意
ピッチ走法の特徴としては半径の小さいカーブになればなるほど有利な条件と言えます。
その理由としてはストライドが大きいとコーナーの半径が小さければ小さいほど、コーナーに対して一完歩毎に馬体が離れてしまうと考えています。
それに加えてカーブを曲がるということは前肢による小まめな方向転換をやっていて、スピードを考えると直線よりもブレーキがかかりやすいのが理由です。
ピッチ走法のようにストライドが小さいと方向転換の回数も多く、馬体がコーナーから離れることなく曲がることができます。
合わせて後肢の蹴り上げの回数が多いので、曲がりながら推進力を何回も得られるのがピッチ走法の強みです。
加速力が優れている
脚の回転数が早いピッチ走法の場合は初速から最高速に達するまでが早く、加速力が優れているのが特徴です。
坂のように速度が落ちる場面でもスピードが落ちにくく、坂を上り切ってから最高速に上げるなど加速減速のギヤチェンジに対応することができます。
また、加速力が優れているということは渋った馬場やパワーが必要な場合でもピッチを上げて対応できるので、パワーがある馬が多いのもピッチ走法馬の特徴です。
ダートや芝の不良馬場などが得意
芝を走るよりもダートを走る方が路盤からの反発力が少ないので、競走馬自身で推進力を強く出す必要があります。
雨の降ったダートのように馬場が堅くなり反発力がある状態であればそこまで影響は無いですが、良馬場のダートで砂が深ければ深いほどピッチが速い競走馬の方が適性があると考えます。
また、芝の不良馬場や雨の場合は芝の表面が湿っていて非常に滑りやすくなっています。
凍結路面を歩くとわかりますが私たち人間の場合でも、歩幅を狭くしてピッチを上げて歩くはずです。
それと同じで競走馬も滑る芝の場合は走りにくく、ピッチ走法のようにストライドが短いことが湿った芝コースで有利に働きます。
ストライド走法とは
ストライド走法とはピッチ走法とは反対で、ストライド(距離)を大きく取りながら走る走り方です。
レースを見るとストライドが大きく跳んでいるように見えるので、すぐにわかるかと思います。
スピードを出すためにピッチ走法よりは脚の回転数が遅いですが、その分ストライドが大きくして速度を出すのが特徴です。また、馬体的には見た目が大きく、脚が長い馬がストライド走法で走ることが多い印象です。
ストライド走法がわかりやすい馬は
- クロフネ
- キズナ
- イスラボニータ
- ウオッカ
- ゴールドシップ
などが思い浮かんだので、ピッチ走法の時と同様にレース映像から確認してみるとすぐにわかると思います。
ロングスパートなどの長くいい脚が使える
ストライド走法の場合はピッチ走法のように加速力は劣るものの、最高速に達してからその速度を維持することに長けています。
ピッチ走法の場合は脚の回転数を上げるので、体力の消費が激しく最高速を維持するのも短いです。
それとは反対にストライド走法の場合はピッチがそこまで早くないので、体力の消費は少なく長い時間ロングスパートをかけることができます。
走法と大きく関係のある手前について知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
走法から見つけられる怪物馬
レース映像からピッチ走法かストライド走法を見極めようとするときに、稀にどっちにも区別できない馬がいるかと思います。
「それはもしかしたら怪物馬かも」ということをここからは解説していこうと思います。
代表的な馬としてはディープインパクトです。
ディープインパクトは私の周りの競馬ファンやインターネット上でもストライド走法だと言われています。
たしかにレース映像などを見ると跳びが大きくストライドが広いのですが、それに加えてピッチも他のストライド走法の馬よりも非常に速いのが特徴です。
レースでの速度はストライド×ピッチによって求められるので、ストライドが大きいのにピッチが速い場合は加速力もあってロングスパートもできるということですね。
競走馬総合研究所の調査研究によると
- 一般的な競走馬は四肢が同時に着地している時間が長く、空中で進む距離が短い
- ディープなどの三冠馬は四肢が同時に着地している時間が短く、空中で進む距離が長い
という結果が出ているようです。
同時に着地している時間が短いということはピッチ走法のように早い回転で脚を回していることを表していて、空中で進む距離が長いということはストライドが長いことを表しています。
ピッチ走法、ストライド走法から狙えるパターン
ここからはピッチ走法とストライド走法などの走法だけを見た場合に、狙えるパターンなどを解説していこうと思います。
それぞれの走法の特徴や得意な条件は先ほど書いたので、そこから適性を見つけていければ高配当を呼び込む穴馬を見つけることができます。
実際に予想する時は走法の適性だけではなく、蹄などの影響も大いにありますが、ここでは走法だけの適性で書いていきますのでご了承ください。
ゴール前の直線の長さによる走法の適性
ピッチ走法の加速力、ストライド走法のロングスパートを考えると、ゴール前の直線の長さにおける適正が見えてきます。
- ピッチ走法の場合は脚の回転数が速い分、最高速を維持できないので短い直線が向く。
- ストライド走法の場合は加速力が劣る分、最高速を維持できるので長い直線が向く。
また、ゴール前の直線に入る第4コーナーが下りなどの場合は、加速力が必要ない分ストライド走法が有利になります。
直線に坂がある場合は前半のペースや展開によっても影響されますが、坂の勾配によってはピッチ走法が有利になりやすいと考えています。
ペースによる走法の適性
ハイペースやスローペースによっても走法による優劣があります。
- ハイペースの場合は消耗戦になりやすいので、ストライド走法が有利になりやすい。
- スローペースの場合は瞬発力戦になりやすいので、ピッチ走法が有利になりやすい。
ストライド走法のメリットは長くいい脚が使えるロングスパートですので、前半のペースが速く中間ラップも息が入らない消耗戦の場合は、ピッチ走法馬よりも体力面で有利になりやすいです。
また、スローペースの場合には直線を向いてからの瞬発力戦になるので、瞬間的に加速できるピッチ走法が有利になるのですが、直線の長さによっても状況は変わってきます。
スローペースの状況でストライド走法が勝ちに行く場合には脚質などの影響もありますが、早めから仕掛けることが必要です。
ペースによる影響も大きく関係するため、気になる方は合わせてご覧ください。
馬場による走法の適性
直線の長い競馬場として東京競馬場などは、ストライド走法が有利になると先ほど書きました。
有利になる条件としては良馬場で芝の路面が乾いていることが前提になるので、雨が降っている場合や路盤が濡れている時は直線が長くてもピッチ走法馬が穴を空けることが多いと感じています。
開催が進むにつれて馬場は荒れていきますが、馬場が荒れれば荒れるほどパワーが必要になるのでピッチ走法馬にとって有利な条件になります。
最も狙えるパターンとしては開催後半の逃げ、先行馬のピッチ走法馬は注目してみると面白いかもしれません。
また、洋芝などの時計のかかる馬場などの場合にもピッチ走法が有利になるので、競馬場の直線の長さや展開によるストライド走法の優劣と、馬場によるピッチ走法の優劣を比べることも重要なファクターだと感じています。
馬場読みやトラックバイアスが気になる方は、合わせてこちらもご覧ください。
距離による走法の適性
ピッチ走法は加速力とパワーを武器にしている走りなので、短距離からマイルまでが有利な距離です。
ストライド走法の場合は体力の消耗がピッチ走法よりも少ないため、中長距離などの場合に大きく適性があります。
オッズなどを見てみると意外に走法による適性距離を考える方が少ない印象です。
馬場の状況と距離の延長短縮などを走法によって考えることによって、周りとは違う目線から適性距離を見つけることができます。
ピッチ走法、ストライド走法の違いと狙い目 まとめ
今回は走法だけに絞って記事を書きましたが、予想の参考になったでしょうか?
あまり注目されない走法ですがトラックバイアスや展開による有利不利のように、ピッチ走法やストライド走法によるバイアスもあると考えています。
予想の場合は組み合わせるファクターによって、適性や展開をどのように優劣つけるかが肝です。
他のファクターでは不利だと出ていても、走法で見ると有利な場合は選択が難しく感じると思います。
ただ、どの予想法にも言えるのですが、競走馬によって個々の能力は違いますし、狙うべきは人気薄になっている条件下しかありませんね。