馬場読み入門!競馬初心者でもわかるトラックバイアスを解説
競馬をする上で切っても切れないものが、馬場読みとトラックバイアスです。
どちらも非常に奥が深く短時間で習得するのは不可能に近いのですが、少しでも理解できるように解説してみます。
最近の傾向を見てもトラックバイアスが重要な部分が多いと思っているので、この記事から馬場読みやトラックバイアスに興味を持つキッカケになればと思います。
馬場読みとは
馬場というのはみなさん知っているように各競馬場の路面、路盤状態のことを指しています。
馬場状態に関してはJRAなど運営側からの発表が必ずあるのですが、「良」、「稍重」、「重」、「不良」の4つで発表されていますね。
ここで知っておいて欲しいのは発表される4つの馬場状態だけで判断していては、正確な馬場が判断できないということです。
不良馬場だからといってコース全てが不良な訳では無く、部分的に乾いている場所もあるので注意が必要です。
JRA発表の馬場判定は馬場の含水率を内柵から1Mのところで測定し、馬場担当者が実際に馬場を踏んだり触ったりして最終的に決定しています。
そこで最も重要になるのは実際にレースを見たり路盤をしっかり観察して馬場を読むこと、即ち「馬場読み」となります。
コースの傾斜やコーナー、水はけをよくする暗渠菅の有無によって水分の渇き具合も変わりますので、しっかりレース映像を観察することが特に重要です。
水分以外で馬場読みに影響を及ぼすもの
馬場判定は水分の含水率が中心で馬場判定員がコースを歩いて馬場判定を最終決定しているのは先ほども説明しました。
水分の含水率以外で馬場に大きな影響を及ぼす重要なものがあります。
それは路盤の傷み具合です。
特に芝コースの場合は距離ロスを無くすために極力内ラチを沿うように回る方が有利になるため、内側を回る馬が多くコースの内側は傷みやすくなってしまいます。
開催初週などの場合は内側の芝は傷んでいないことは誰でも想像できますが、開催週が進んでレースがどんどん施行されるに従って路盤の傷みがどこまで進むかを見ることが重要です。
芝コースにはコース替わりといって内柵を外側にずらす(AコースからBコース、BコースからCコースなど)ことがあり、そのコース替わりによって路盤が傷みやすい内ラチの部分を守っています。
それとは反対にCコースからAコースなどに変わった場合は仮柵によって守られている最内の部分が解放されるため、距離ロスの少ない内側を芝のいい状態(グリーンベルト)で走ることができるので、逃げ馬や先行馬は断然有利です。
JRAの新しい馬場指標としてクッション値というのが導入されました。
クッション値というのは路盤の堅さを数字に表したもので、8~10が標準の数値となっています。
数字が大きくなればなるほど路盤が堅く、数字が小さくなるに従って柔らかい路盤です。
測定している場所ですが含水率を測定するのは内柵から1mの場所でしたが、クッション値の場合は内柵から2~3mの地点で測定となります。
内側の路盤の堅さが数値として表されるのでクッション値によって高速馬場かどうかの判断もできそうですが、現状はサンプルが少ないため様子見となりそうです。
ただサンプルが多くなってきて高速馬場かどうかの判断ができるようになってくると、新たな馬場読みとして力を発揮しそうですね。
路盤補修についても注目
ここでいう路盤補修というのは芝の張替えなどではなく、JRAが発表するエアレーションやシャダリングの2つの補修に関して説明します。
エアレーションというのはレースが開催されていない時期にコース全体に直径2センチほどの穴を空ける作業で、シャダリングというのは回転刃で路盤に切り込みを入れる作業で効果はエアレーション以上です。
2つの作業の目的としては
- 水はけをよくする
- 芝の生育
- 路盤のクッション性を高める
の3つが中心になります。
馬場読みで特に注目したいのは路盤のクッション性が適度に向上することにより、競走馬はより走りやすくなります。
そのため馬場判定が「稍重」や「重」の場合でもエアレーションやシャダリング後の開催であれば、タイムも出やすく走りやすい馬場だと読むことができます。
馬場によって走りやすい走法などもあるので、気になった方はこちらも確認してみましょう。
馬場読みの一歩先 トラックバイアスとは
トラックバイアスとは馬場によって生じる有利な条件や不利な条件のことを言います。
競馬初心者の方でも馬場読みをやってみて、トラックバイアスという意識を持ちながらレースをみることで、どんどん理解が深まっていくので試しにやってみてくださいね。
基本的にトラックバイアスが影響を与えるのは芝コースが中心になるので、ここでは芝コースのトラックバイアスについて中心に解説していこうと思います。
トラックバイアスの種類としては主に以下の4通りです。
- 先行有利
- 差し有利
- 内伸び
- 外伸び
この4つが大きい分類なのですが、いろんな場面で耳にしたことがあるかと思います。
先行有利と内伸び、差し有利と外伸びは同じような意味合いですが、コースの内外関係無しに先行馬が有利な状況や、差し馬が有利な状況があるのでここでは4つで分類させていただきます。
トラックバイアスの基本的な考え
競馬初心者の方でも競馬は内側を走る馬が有利というのはわかると思います。
陸上のように自分の走るレーンが決まっていれば、どこの枠やレーンであっても関係無いです。
ただ競馬の場合はスタートの枠順が決められて、スタート後はどこを走ってもいいルールなので、内側を走る馬の方が距離ロスが無く有利になります。
内を走る馬と言うのは逃げ、先行馬が中心になるので先行馬有利と考えるのは当然ですが、路盤の堅さによって先行馬有利や差し馬有利のトラックバイアスも別に存在するので、これから解説していきます。
先行有利や差し有利などのトラックバイアスについて
「タフな馬場」と言う言葉を聞いたことありますか?
私自身も最初は意味が分からなかったですが、「タフな馬場」と言うのは簡単にいうと走りにくい馬場のことをいいます。
「タフな馬場」というのはパワーが必要となる馬場なので路盤が柔らかすぎる場合や雨によって馬場が不良になっている場合が主な原因です。
路盤が全体的に緩くパワーが求められる「タフな馬場」の場合は、逃げ先行馬がそこまでのハイペースでなくても比較的ゴール前で脚が上がりやすく差し有利の馬場です。
逆に「パンパンの馬場」という言葉で表される高速馬場と言われる状態であれば、逃げ、先行馬がハイペースで流れていても、走りやすい馬場で先行馬の脚への負担が少ないために脚が上がりにくく、そのまま前が残る先行有利の馬場になります。
- ハイペースは逃げ、先行馬不利
- スローペースは逃げ、先行馬有利
上記に書いたのはペースによる基本的な考え方なのですが、路盤によるトラックバイアスによって真逆になることがあると覚えておきましょう。
馬場による影響とペースによる影響のどちらが強く作用するかによって、路盤によるトラックバイアスが変わってきます。
先行馬が有利な馬場か差し馬が有利な馬場か、総合的な判断をすることが必要になってきます。
ペースについて気になった方はこちらも合わせてご覧ください。
開催初週から外伸びの馬場について
開催初週からたまに外が伸びる馬場になっていることがあります。
普通の考え方は内外共にフラットな馬場状態で路盤の堅さや芝の状態など、コース全体に差が無い状態が一般的です。
ただ、競馬場によっては開催初週からフラットなコースではなく、差し馬が有利になりやすい真ん中から外側を走った馬が伸びる外伸びのトラックバイアスのことがあります。
その理由としては定かでは無いですが、私の予想として馬場を作る造園課の職員が外伸びの馬場を作っていると思っています。
なぜ外伸びの馬場を作るのかと言うと競馬場によっては逃げ、先行馬での決着が多すぎることがあるので、どの馬にもチャンスがあるように距離ロスがある差し、追い込み馬に有利な馬場を作っているのではないかと思っています。
JRA発表の馬場判定にも外側の馬場状態は出ないですし、クッション値の発表も内側の部分で発表されるため確認できないのが残念です。
開催週の経過によるトラックバイアスの変化
ここからは開催が経過していくに従って変わっていくトラックバイアスについて確認していきましょう。
開催初週は競馬場の芝の状態は内側、外側共にフラットになっているのは当然です。
コースのどこを多くの馬がたくさん走るのかというと、当然コースの内側になるので開催が進むごとにインコース側が荒れてきます。
馬場が荒れているということは走りにくくなるということになるので、開催が進むにつれて差しが決まりやすくなるトラックバイアス(外伸び)になりやすいです。
特に雨が降っている場合や水分含有量が多い状態(重や不良馬場など)でレースをすると、少ないレース数でもかなり荒れてしまいます。
馬場の堅さによって傷むスピードは変わるので、馬場が緩くなっている時は特にトラックバイアスの急変に注意しながら見ていきましょう。
雨によるトラックバイアスへの影響とは?
ここからは雨によるトラックバイアスのついてになりますが、馬場読みやトラックバイアスを考える点で一番難しいのが雨の影響がある時です。
開催週による馬場の変化やトラックバイアスに関しては内側の傷み具合の判断が中心だったのですが、路盤のトラックバイアスについては雨による水分含有量によって大きく影響し、競馬場毎の排水性の違いによって大きく差が生まれやすい部分になります。
特に排水性に大きく関わるのは暗渠菅の有無や設置個所が重要になります。競馬場によっては暗渠菅が設置されていない場合や、暗渠菅が無くても排水性がいい競馬場もあるので、競馬場毎の特徴をしっかりと掴んでおきましょう。
競馬場毎のトラックバイアス傾向や特徴については、競馬場の記事毎に記載してありますので、合わせてご覧ください。
レース映像からの馬場読みやトラックバイアス確認方法
ここからは競馬初心者でもわかるレース映像からの馬場読みやトラックバイアスの確認方法について解説していきます。
トラックバイアスというのはその開催している週(主に土日)のみで使えるもので、またレースが開催されたり時間経過によって常に変化しています。
トラックバイアスを映像から確認する方法はレース映像を確認するしかなく、見るポイントさえしっかり掴んでおけば伸びている場所や走りにくいであろう箇所は見抜くことができます。
レース映像を見るポイントとしては単体の馬を見るのではなく、
- 直線で伸びてきた馬郡がどこを通っているか
- 逃げ、先行馬が残りやすい残りにくいか
直線に入ると逃げ先行馬は馬場が明らかに傷んでいない限りコースの内側を走りますし、差し馬や追い込み馬はコース真ん中から外側を走ります。
ペースや展開による影響もあるので一概には言えませんが、直線に入って伸びてきている馬郡が通っている場所がトラックバイアスによる影響があると仮定することができます。
またJRAの発表が「良」だとして、逃げ先行馬がそこまでペースを上げていないのに最後の直線でバテて沈んでいくことが多いのであれば、「良」だとしても非常に走りにくくスタミナを奪われる馬場と判断することができ、差しが決まりやすい差し有利なトラックバイアスと判断できます。
馬の能力値がトラックバイアスを複雑にする
仮に馬の初速、加速、スタミナなどの能力値が一定であればレース映像を見るだけでトラックバイアスを判断することができますが、実際には馬によって能力値には大きな差があります。
競馬初心者がトラックバイアスを予想ファクターとして取り入れる際の大きな壁というのが、この馬の能力値を割り引いて考えることではないでしょうか?
トラックバイアスで難しいのは直線で伸びている馬がトラックバイアスの影響で伸びているのか?馬の能力で伸びているのか?をしっかり見極めなければ読み間違えてしまいます。
仮に圧倒的な差し脚を持っている馬がいた場合には先行馬有利の路盤状態で内伸びのトラックバイアスになっていても、差してしまいます。
トラックバイアスを見る際に大事なのは馬の能力値をしっかりと見極めることです。
- 馬場が荒れている方が得意
- 圧倒的な上がり3Fを持っている
- 他の馬に囲まれると力が出せないなど
実際には1頭1頭の特徴や能力を見ることは難しいので、何レースも見比べて判断するか馬の過去のレースから特徴や能力を判断しなければならない場合もあります。
馬の能力を見る際にコーナリング性能も重要になってきます。
コーナリング性能が高いと小さい半径のコーナーでも加速しながら走れますし、コーナリング性能が低いと速度が著しく落ちてしまいます。
レース映像をしっかり見ていればコーナーが得意、不得意は見抜けるのですが、コーナーで加速している馬を見ると内が有利のトラックバイアスと間違える場合もあるので注意です。
AコースやBコースなどのコース替わりに関してもAコースのようにコースの最内を回る場合はコーナー半径が小さく、Bコース、Cコースと仮柵が外に行くに従って、コーナー半径は緩くなっていきます。
ごく少数ですがCコースやDコースなどの緩いコーナーが得意な馬などもいるので、トラックバイアスを見る際には馬の特徴をしっかり理解することが必須ですが、判別が難しいと感じた場合には何レースか見てじっくり判断していきましょう。
トラックバイアスの有効な使い方
トラックバイアスを予想に組み込むために重要なのは、しっかりと何レースかレース映像を見て判断してから使うことです。
先行馬や差し馬など狙う馬が大きく変わってしまう可能性があるのがトラックバイアスなので、馬場の読み間違いによる不的中だけは絶対に避けなければなりません。
私の個人的な予想法として、トラックバイアスは予想の最終段階の補正程度に捉えるべきものだと思っています。
その理由として馬の能力を割り引いてトラックバイアス傾向を見つけるのは難しい技術で、私を含めた競馬初心者が容易に使えるものではないと考えているからです。
実際にトラックバイアスを読み切って好成績を残している方もいますが、そういう方は馬場読みのスペシャリストであって誰もがマネできるものでは無いです。
後述しますがトラックバイアスの最大限活用できる部分はレース回顧だと思っているので、予想にトラックバイアスを組み込む際には慎重に判断していきましょう。
レース回顧からストック馬を作ることも競馬で勝つためには有効です。こちらも合わせてご覧ください。
トラックバイアス最大の利点はレース回顧にあり
トラックバイアスが一番効果を発揮するのはレース回顧だと思っています。
トラックバイアスを判断するためにレース映像を見て有利な部分や伸びている場所を見つけ、馬の能力を割り引いて判断すると先ほど説明しました。
その馬の能力をレースが開催されている時間で判断するのは時間が無いので難しいですが、レース後の回顧であればじっくり時間を使って振り返ることができます。
トラックバイアスと使ったレース回顧でポイントとなるのは、次回狙うべき馬を見つけること信頼度の低い人気馬を見つけやすいということです。
- トラックバイアスの恩恵で好走した能力の低い馬→次走人気していれば消し
- トラックバイアスの恩恵を受けずに好走した馬→次走狙い目
一番わかりやすいのは上記の2つの場合だと思います。
弱い馬でもトラックバイアスによって勝つことがあるので、もしトラックバイアスの恩恵で好走した馬を見つけたら覚えておきましょう。好走した馬は次走人気しやすいので、人気馬になっていたら明らかな危険な人気馬です。
また、トラックバイアスの恩恵を受けないで好走した馬がいた場合は本当に能力が高いという証明になるので、次走以降は積極的に狙っていくのがおすすめです。
トラックバイアスのレース回顧に加えてラップタイムによるレース回顧も合わせるとより穴馬と危険な人気馬を見つけやすくなります。
ラップタイムについて気になった方は、ぜひ合わせてご覧ください。
馬場読み、トラックバイアスのまとめ
今回は馬場読みとトラックバイアスについて簡単な内容ですが記事にしてみました。
私自身まだまだ馬場読みも不慣れで、トラックバイアスの読み間違いも多いのですが、少しでも興味を持ってもらえる記事になっていれば幸いです。
実際にトラックバイアスを予想に何度か組み込んでみましたが、私の今の段階では大して効果はなく、レース回顧で穴馬を見つける時のみ使っています。
それだけでもものすごい効果がありますし、未勝利戦などのレース数が多くて人気薄が好走しやすいレースで最大限に効果を発揮すると考えています。
今後もっと馬場読みやトラックバイアスが得意になれば予想の中心になるかもしれませんが、その時はまた記事にて書きたいと思いますので、楽しみに待っていてくださいね。