ラップタイム分析編 競馬初心者でもラップ分析してみよう!
前回のラップタイムの記事では入門編と言うことで説明が中心でした。
いよいよ今回はラップタイムの分析について競馬初心者の方でもわかるように書いていきます。
ラップタイムに興味を持った方はぜひ最後までご覧くださいね。
レースの基本とラップの基準
それではラップタイムの分析方法と見方について説明していこうと思います。
まず前回の記事を見てもらった前提で書いていきますので、まだご覧になっていない方はこちらからお願い致します。
ラップタイムの分析というのはレースラップでレースの流れや質をしっかりと見極め、走破ラップと組み合わせることによって競走馬の能力や適性を判断することです。
ラップタイムの分析で一番効果を発揮するのは未来のレースの予想よりも、レース結果の回顧に一番効果を発揮すると考えています。
ペースや脚質によってレースを見るよりラップタイムを見て判断した方がハイペースで先行勢がどのぐらい辛い流れだったのか、どこのラップが急に早くなって差しが決まりやすくなったなど映像では見えないものも見えてきます。
ラップタイムのように具体的な数字を使うことによって根拠を持ってレースの回顧ができるようになるので、競馬初心者の方もこの機会にラップタイムについて覚えていきましょうね。
ラップの基本
まずはラップの基本から説明していきます。
参考までに2020年8月23日の札幌記念のレースラップを記載しますので、だいたいの流れから理解していきましょうね。
ハロンタイム | 12.7 – 11.1 – 12.0 – 12.3 – 12.2 – 12.2 – 11.7 – 11.7 – 11.6 – 11.9 |
---|---|
上り | 4F 46.9 – 3F 35.2 |
競走馬の平均時速と言うのは約60キロと言われています。
時速60キロを基準として1F(200m)に置き換えてみると12秒になるので、1F12秒というのは平均的な普通の速さと言うことです。
ラップタイムの基準は人それぞれだと思いますが、私の場合は1F=12秒を標準として
- ~11.0 激走ペース
- 11.1~11.5 早いペース
- 11.6~12.0 ちょい早めペース
- 12.1~12.5 ちょい遅めペース
- 12.6~13.0 遅いペース
- 13.0~ ゆっくりペース
で考えていて、もっと大雑把に12秒よりも早いか遅いかでも十分ラップタイムの分析はできます。
ラップを見るとわかりますが競走馬は長い間全力では走ることができません。私の感覚では全力で走っても1Fか2Fではないかと思っています。
そのため必ずラップには緩急がついていて、早く走る部分と遅く走る部分を繰り返しながら走っています。
ラップタイムの見るべき点というのはどのタイミングでラップが早くなりどのタイミングで遅くなるのかが全てで、それは誰でも見れるし理解できることだと思います。
そこからラップ分析で他と差がつくのはレースラップの加速減速のタイミングとタイムから何を感じ取れるかです。
難しく感じるかもしれませんが後程考えるヒントとして色々記載していきますので、一緒にラップタイムを考えていきましょう。
レースの流れの基本
もう一つ、ラップタイムを考える上でレースの流れを押さえておく必要があります。
レースの流れがわかっているとラップの加減速の影響が理解しやすいと考えています。
先ほどのラップの基準表を見ながらもう一度札幌記念のレースラップを見てみると、競馬初心者の方でもなんとなくレースの流れが見えてくるかと思います。
ハロンタイム | 12.7 – 11.1 – 12.0 – 12.3 – 12.2 – 12.2 – 11.7 – 11.7 – 11.6 – 11.9 |
---|---|
上り | 4F 46.9 – 3F 35.2 |
もう一つ札幌記念と同日の同距離の5Rメイクデビュー札幌のレースラップも見てみましょう。
ハロンタイム | 13.1 – 11.2 – 12.1 – 12.7 – 12.7 – 12.9 – 12.7 – 12.4 – 11.5 – 12.0 |
---|---|
上り | 4F 48.6 – 3F 35.9 |
一般的なレースの流れとしてスタート直後にポジションの確保をするためにペースが上がり、中盤は一旦落ち着いて脚を溜めてから、ゴール前でペースが上がることが想像できると思います。
メイクデビュー札幌も札幌記念のラップもそうなっていますね。
他のレースもだいたいポジション争いは2F目でピークを迎えて、3F目からペースが落ちるのが一般的です。
メイクデビュー札幌の場合はそのまま遅いペースで流れていったため、7F目から徐々にペースが上がり9F目には11.5と一気に早いラップが刻まれています。
新馬戦や未勝利戦の場合はこのように中盤で遅いペースで緩むことが多く、クラスが上がるにつれてペースがどんどん早くなり中盤のペースでも緩みにくくなります。
芝とダートのラップの差とは
競馬のレースには大きく分けて芝とダートがあります。
ラップタイムで見るとラップの上下の変動幅は芝の方が非常に大きく、ダートの場合はそこまで変動しないのが特徴です。
なぜダートの場合はラップが変動しにくいのかと言うと、基本的にダートコースは砂のため走りにくくトップスピードも芝コースには及びません。
雨が降って路盤が堅くなってくればトップスピード自体は上がりますが、芝コースのようにスピードの幅やトラックバイアスの影響が大きいと色々な戦略が出てきますよね。
そのためダートコースは同コースの場合は同じようなラップになりやすく、芝コースの場合は同コース、同距離でも戦略や様々なバイアス、展開によって色々なラップの刻み方があるのでラップタイム分析するのであれば芝コースが面白いですよ。
レースラップの分析方法
ここからはレースラップの分析方法とそのやり方などを説明していきたいと思います。
レース映像などから不利を受けた馬を探すことも回収率UPに欠かせない項目の一つになるのですが、レースラップからしっかり分析することによって傾向や狙い目などがより鮮明に見えてきます。
競馬を初めて間もない競馬初心者の方には特にレースラップを分析することによって、レースの流れなどを理解するためにもおすすめです。
その中でもレースラップからハイレベルレースと判断できるものがあれば、負けて強しの馬がたくさん見つかるので馬券的妙味が大きく狙い目になりますね。
過去の同一レースのラップを分析
ラップタイムを勉強するにあたり色々なラップタイムに関する記事や本などを見てきましたが、一番分析されているのは同一レースのラップ分析です。
例えば先ほどの札幌記念のように2019年、2018年、2017年と同一レースのラップを過去何年かをさかのぼり、レースラップを見比べて分析する方法です。
レースを予想する際に例年のラップを見るとおおよそのラップの特徴が出ているので、そのラップを得意としている馬を狙うのは基本になります。
なぜ同一レースの場合は同じようなラップになりやすいのか
出走している馬は毎年違うのに同じようなラップを刻むことが多いのはなぜでしょうか?
それは同一コースの場合は
- コースが同じなのでカーブの半径や高低差が同じ
- 距離が同じなので騎手などのペース配分が似てきやすい
- 開催週が同じなので馬場の傷み具合が例年似ている
ためだと考えています。
もう少し具体的にいうとレースラップは各ハロン時点での先頭を走る馬のタイムなので、その加減速のタイミングについてはコースや競馬場の構造が反映されるからと考えています。
同一レースによるラップの加減速の幅について
同一レースの場合の加減速のタイミングは変わりにくということは説明しましたが、ラップ加減速の幅、ラップの通過タイムについては色々なものに影響されて上下します。
影響される原因としては
- 良馬場、重馬場などの馬場とトラックバイアス
- 先行勢のペースの作り方
の2つが一番大きく影響してくると考えています。
馬場の状態によって走りやすさが変わってくるのでタイム自体が大きく変わるのは当然ですが、トラックバイアスによって内を走る、外を走るなどの距離ロスも含めるとタイムが変わるのは必然です。
そのラップタイムが例年よりもかなり早いペースであれば当然走っている競走馬達にすると苦しい流れになりますし、そういうレースがハイレベルのレースと判断できます。
ハイレベルレースの見極め
レースラップの分析で重要な部分としてもう一つはハイレベルレースの見極めがあります。
ハイレベルレースに関しては未勝利戦や1勝クラスなどの低クラス帯で見つけられた場合は特に次回のレース時に穴馬として狙える馬になりますし、ハイレベルレースの場合は負けている馬も次回レースで好走しやすい傾向があるので競馬えで勝つためには重要な部分です。
ハイレベルレースの判断としてレースラップを走破ラップのようにテン3F、中盤、上がり3Fと分割して考えるとわかりやすいです。
レースタイムーテン3F-上がり3F=中盤のラップ
テン3F~中盤のラップ~上がり3F=レースタイムとなりますね。
ハイレベルレースを見極めるのに注目して欲しいのはレースラップを3分割にした中盤のラップになります。なぜ中盤のラップに注目するのかというと、
- テン3Fに関しては逃げたい馬の数によって自然と変動する
- 上がり3Fは前半のペースによって自然と変動する
ということです。
テン3Fや上がり3Fに関してはどのようなレースでも比較的早くなりやすい部分ですが、中盤のように脚を溜めるべきタイミングでそこまでペースが緩まないのは紛れもなくきついレースです。
ハイレベルレースを見極めるのは例年のレースラップより中盤のラップが早い場合と覚えておいてくださいね。
レースラップの種類
ここからはレースラップの種類について解説していきます。
同一レースのラップ分析でも書きましたがレースラップの種類を知ることにより、これから予想をする想定レースラップと過去に同様のレースラップで好走している馬がいれば適性があると判断していいと思います。
- 瞬間的なギヤチェンジが得意
- 早いラップを長く使うのが得意
- スタミナが問われる流れが得意
などラップの加減速のタイミングとレース結果によって適性が見えてきます。
種類の説明に際して注意ですがペースに関して脚質だけで有利不利で見るのではなく、ラップの種類によって得意不得意を見ると得意な適性などが見えてきます。
テンが遅いラップ
テンが遅いラップというのは序盤はゆっくり流れていくラップになるのですが、
- だんだん右肩上がりにラップが上がっていく加速型ラップ
- 中盤までそこまでペースが上がらずに最後の直線勝負の瞬発型ラップ
が該当します。
加速型ラップで好走している馬が直線距離の短い競馬場であれば、中盤ぐらいからのロングスパートになるラップが得意と判断できますね。
瞬発型ラップの場合には瞬発力があることが証明されますので、スローペースからの瞬発力勝負が得意な馬が好走します。
テンが早いラップ
テンが早いということは逃げ馬が複数いた場合、あるいは先行馬でのポジション争いが激しい場合などが該当しますね。
- テンのラップから中盤、上がり3Fとラップが右肩下がりに落ちていく前傾ラップ
- テンと中盤ともに早いペースから、上がり3Fでペースが落ちるスタミナ型ラップ
前傾ラップはレース序盤からかなり早いラップが刻まれるラップなのですが、一般的にはレースラップがどんどん下がっていくので前が総崩れのようなレースになります。
当然、差し馬や追い込み馬が有利な流れになるのですが、そこで勝てる先行馬は粘り強さが証明されますし、差し馬や追い込み馬もスピード特化型であれば好走は難しいラップです。
このようなレースで上位に入選している差し、追い込み馬はスピードタイプではなく、いい脚を長く使うレースに適性があると見ることができます。
スタミナ型ラップはG1などのハイレベルレースに多いのですが、ハイペースはハイペースでもテンと中盤がそのままのラップで維持されるレースです。
厳密には中盤で少しはラップは緩むものの、前傾ラップと違い差し、追い込み馬もペースを上げていかないと先行勢と距離が離されてしまうので全馬きつい流れになります。
前傾ラップの先行馬のように粘り強さが求められるレースですが、前傾ラップは苦手でスタミナ型ラップは得意という馬もいるので注意が必要ですね。
テンの速さが真ん中のラップ
テンの速さが真ん中のラップということは遅くもなく早くもない普通のテンの速度から始まるレースラップですね。
- 一般的なレースのように中盤でペースがしっかり落ちて、上がり3Fで一気に上がる一般ラップ
- テンのラップから中盤、終盤と共に早いラップが刻まれるロングスパート型ラップ
一般ラップで求められるのはギヤチェンジが得意かどうかと考えています。
中盤でいったん落ち着いてから最後に再加速するラップが得意な馬もいますし、苦手な馬もいるので注目してみてみると面白いかもしれませんね。
ロングスパートラップはハイペースになりそうなペースからそのまま早いラップで最後まで行くので、レース後にミドルペースもしくはスローペースと判断される特殊なラップです。
前傾ラップやスタミナ型ラップのように上がり3Fでペースが落ちないので、スタミナが残っている状態でのロングスパート勝負になるのが特徴です。
レースラップ分析の注意点
レースラップの分析方法や見方について書いてきましたが色々な注意点があります。
まずレースラップの種類ですが同様のラップを刻んでいても
- 直線の距離
- コーナーのR
- 坂の有無
- コース形状(スタート直後にコーナーなど)
などによって傾向が大きく変わってきます。今回紹介した種類のラップと同様のラップが刻めそうなレースを見つけた場合でも上記4つの確認は必須になります。
またレースラップの種類についても他のラップタイム分析をしている方を見ると、もっとたくさんの種類で解析している方やラップの加減速のタイム差で分析していたり様々です。
あくまで今回紹介したラップ分析の方法は私の考え方なので、ラップ分析に興味を持ったのであれば色々な方の見解を見るとより勉強になります。
Twitterでおすすめのラップタイム分析者
最後になりますがTwitterでラップタイムに精通していて非常に勉強になる方を紹介しておきます。
ラップタイム分析編 まとめ
ラップタイム分析について早足で書きましたがいかがだったでしょうか?
それぞれの項目について深くまで掘り下げて書きたかったのですが、まず分析編の一発目ということで広く浅くを心がけて書いたつもりです。
本当は走破ラップについても一記事にまとめて書きたかったのですが、伝えたいことが多すぎて何個か分割してこれから書いて公開していきます。
ラップタイムの分析方法や活用方法は今回紹介したのはほんの一部で、まだまだ色々な分析方法や活用方法があります。
ラップタイムという一つの予想ファクターですが非常に奥が深く、色々模索しながら考えるのは本当に楽しいですね。
これからもラップタイムに関してだけではなく、色々な記事を提供していきますので期待してください。