競馬初心者から始める血統勉強講座 基礎入門編
今回は一番競馬の予想ファクターとして有名な血統について書いていこうと思います。
私自身、血統については全くの初心者なのですが、少しずつ血統について勉強している最中です。
競馬初心者の方や、全く血統について知らない方と同じペースで学んでいければと思います。
血統とは
まず競馬の予想ファクターで一番有名な血統についてですが、血統というのは父、母などの血脈から予想することです。
私たち人間の場合には家系図をイメージするとわかりやすいかと思います。
競馬場で走るサラブレッドなどは常に血統を意識して配合されており、より早く走る競走馬を追い求めて交配が繰り返されています。
特に父親となる種牡馬や母親となる繁殖牝馬には実績が優秀な馬が選ばれ、その能力を引き継いだり補ったりを考えながら交配相手を選んでいます。
中には現役時代にあまり活躍できなかった競走馬でも、種牡馬や繁殖牝馬として優秀な子供を産むケースも多く、血統は本当に奥が深く面白いファクターです。
血統は予想に使えるのか?
血統は予想には使えないなどTwitterやネット上でよく書かれていることですが、本当に血統が予想として使えるのか気になる部分かと思います。
まず血統が予想に使えるのか私なりの意見ですが、複雑な血脈や能力の配合をしっかりと見極めて使えるようになれば、予想の主力として使えるのは間違いありません。
ただ、血統が予想に使えないと言っている人の多くは、血統の深くまで踏み込んでいない方も多い印象を持っています。
サラブレッドの繁殖をしている牧場などが交配相手を決めたりするのに使うのは、紛れもなく血統が中心です。
血統を馬券購入と繋げるためには傾向分析が中心になり、種牡馬や繁殖牝馬、そのまた先祖達の傾向を探ることで、血統分析している馬の得意な条件や適正、能力を見つけていきます。
- 馬体の傾向
- 脚質の傾向
- 適正距離
- 走法
- 気性
- 瞬発力
- スタミナなど
上げたらキリがないぐらい、血統というのは競走馬の全ての能力や馬体、気性や適正などに大きく関わっています。
競馬場成績、距離別成績、ローテーション、トラックバイアス、ペース予想、走法予想など数ある予想ファクターそのものを血統で分析できる点も、血統が予想として使える根拠だと思っています。
また、有名な血統研究家の方もたくさんいますが、それぞれ研究家の方達の視点や分析方法によって答えが変わってくるのが血統です。
また、新種牡馬や新繁殖牝馬など毎年新しい血脈が出てくるので分析や勉強することはもちろん大変ですが、誰も気づかない血統傾向に気付くことができれば、配当妙味の大きい穴馬を産駒から大量に見つけることもできます。
血統の適正にも道悪適正があるように、馬場についても一緒に覚えていきましょう。
血統を使うことの魅力
今回血統に関して私自身が勉強しながらこの記事を書いているので、今まで馬券を買う時は血統を使わずに予想をしていました。
血統を使わなくても大きな配当を当てたり、期待値の高い馬を見つけることは正直できますが、競馬を楽しむ上で血統は必要不可欠と考えています。
また、回顧の時になぜ好走したのか根拠を探すのに困ったことはありませんか?
私は今まで回顧で悩むことがたまにあったのですが、血統の知識があれば血統傾向から根拠を探して分析することができます。
もちろん不利やアクシデントによって本来掲示板にも載らない馬が好走している場合は別ですが、血統から見ると一変するべき条件が整っている場合があり、今までより納得して回顧することができています。
血統表の見方
ここからは血統表の見方について解説していきます。
まず、上記に記載した血統表はアーモンドアイの血統表になります。
この血統表は5代血統表といい、5代前の血統までが一目でわかる血統表です。
アーモンドアイの父親はロードカナロア、母親はフサイチパンドラということが血統表の左端を見るとわかります。
種牡馬であるロードカナロアの父親はキングカメハメハ、母親はレディブラッサム。
繁殖牝馬であるフサイチパンドラの父親はサンデーサイレンス、母親はロッターレース。
このようにどんどん血統を遡って見ていくことによって、アーモンドアイの能力や適正などの傾向を探っていくことが血統で予想するということです。
馬の能力は血統表に記載している父親、母親などの能力やその父親、母親の能力など、それぞれの能力や特徴を引き継いでいく傾向があります。
それに加えて特定の馬や血脈が血統表に入っているとスタミナがある、長距離が得意など、特定の馬や血脈によって大きく能力に関わることもあります。
ディープインパクトに関しては説明が必要ないぐらい有名なサラブレッドですね。
種牡馬別の獲得賞金によるランキングをリーディングサイアーランキングというのですが、未だにディープインパクト産駒が断然の1位になっています。
実際にディープインパクト産駒の競走馬は相当の頭数がいますが、全頭が強いわけではありません。
血統でよく言う能力の引継ぎがあるのであれば、ディープインパクトの子供たちは全員強くなければいけないですが、そうでは無い理由としては能力の引継ぎには個体差があるということです。
- 能力をうまく引継ぎ、厩舎の育成方法やレース選択が優秀 ◎
- 能力をうまく引継げなかったが、厩舎の育成方法が優秀で別の適正を見出した 〇
- 能力をうまく引継いだが、厩舎の育成方法やレース選択に恵まれなかった △
- 能力をうまく引継げなく、厩舎の育成方法やレース選択に恵まれなかった ×
など、色々な理由から同じ産駒であっても成績がバラバラになります。
ここからわかることは同じ種牡馬であっても能力や適正は一定ではなく、子供それぞれの個体差が大きくあるので、調教師の育成方法や調教内容などに大きく影響されるということです。
ストライド走法やピッチ走法について気になる方は、こちらも合わせてご覧ください。
能力の影響が大きいサイアーライン(父系)
まず血統表で一番見るべきところは能力の影響が大きいサイアーラインです。
サイアーラインというのは父親、その父親、そのまた父親というように、父系の牡馬を遡っていく血脈のことで、一番能力や適性の影響が大きいと言われています。
父系の血統について簡単に紹介
サラブレッドに大きな影響を与えるのはサイアーライン(父系)と説明しましたが、簡単に血統の流れについて紹介していこうと思います。
まず、今現在走っている競走馬のサイアーラインを遡って行くと3頭のサラブレッドに辿りつきます。
- ダーレーアラビアン
- バイアリーターク
- ゴドルフィンアラビアン
この現在の種牡馬のほぼ全頭がダーレーアラビアンの血を受け継いでいます。
バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンについてはほぼ種牡馬としての直系は無く、母系の系図の中で存在している場合があります。
もう一度ダーレーアラビアンに戻りますが、現在の主流血統の流れとしてはダーレーアラビアン→エクリプス(1764年)→ファラリス(1913年)と血脈が続いており、ファラリスから以下の4頭が日本競馬における種牡馬の大半を占めています。
- ナスルーラ(1940年)
- ターントゥ(1951年)
- ノーザンダンサー(1961年)
- ネイティヴダンサー(1950年)
この4頭から今現在の活躍している大半の種牡馬に繋がっていき、ここから先は4頭の産駒によって多岐にわたり枝分かれしています。
一族の能力傾向 ファミリー(メアー)ライン(母系)とは
血統表の母親側のことをファミリーラインまたはメアーライン、牝系などと呼びます。
父系とは違い繁殖牝馬は1年に1頭しか出産できないため、繁殖牝馬だけの能力の傾向を分析するとサンプル数が非常に少なくなってしまいます。
そのため母親だけの血統傾向で見るのではなく、母親側の系図(ファミリーライン)全体の血統傾向を見ることが重要になってきます。
サイアーラインの血統が能力に大きな影響を与えるのは間違いないのですが、ファミリー(牝系)の違いによって同じ産駒でも大きく能力や適性に差が出てきます。
ファミリーラインに大きく影響 BMSとは
例えばディープインパクトのような大種牡馬を分析する時はファミリーラインを分析することによって、ディープインパクト産駒の中での能力や適正の違いを探すことができます。
ファミリーラインの中でも特に重要になってくるのがBMS(ブルードメアサイアー)と呼ばれる、母父の存在です。
成績のいい種牡馬の産駒が牡馬の場合は優秀な種牡馬になりますが、産駒が牝馬の場合には優秀な繁殖牝馬になります。
優秀な種牡馬産駒の牝馬であればその能力を強く引きついでいるので、繁殖牝馬の能力や適性はBMSの影響を一番受けていると言えます。
種牡馬とBMSの相性 ニックスとは
ニックスというのは種牡馬とBMSの相性のいい組み合わせのことを言います。
配合は種牡馬(サイアーライン)と繁殖牝馬(メアーライン)の能力や適正で考えるのが基本ですが、優秀な産駒が産まれやすい種牡馬とBMSの相性(ニックス)を意識して配合されることも多いです。
代表的なニックスとして種牡馬ディープインパクトとBMSストームキャットは有名で、キズナやエイシンヒカリなど数々のG1馬を出しています。
キズナの母はキャットクイル、エイシンヒカリの母はキャタリナと母は違いますが、種牡馬とBMSは同一なので優秀な競走馬を生み出していますし、同じマジックストームという母からラキシスとサトノアラジンという優秀な競走馬を生み出しています。
色々な配合がありますが統計的に見るとニックスの相性は、他の組み合わせよりも優秀な競争馬を生み出しやすいのは間違いありません。
サラブレッドを生産するための配合方法とは
ここからは血統から見る配合方法について勉強していきましょう。
繁殖牝馬を持っている生産牧場が目指しているのは、とにかく早く走って好成績を残す馬を生産することです。
生産牧場も生活が懸かっているため1年に1頭しか産めない大切な繁殖牝馬に、適当な種牡馬を配合するわけにはいきません。
そのため成績のいい馬同士を配合させる場合もありますが、基本的には血統を見ながら能力の方向性を決めて配合させています。
サラブレッドの配合にも色々な方法や理論があるので、ここから解説していきます。
能力を強く遺伝させる方法 インブリード(クロス)とは
インブリード(クロス)という配合方法は一言でいうと近親交配です。
それがわかるように先ほども掲載した、アーモンドアイの血統表を載せておきます。
アーモンドアイの血統表を見るとわかりますが、Northern DancerとNureyevが父系と母系の両方にいます。
血統表の中で同一の馬がいる場合、その馬の特徴や能力が遺伝しやすいされています。
アーモンドアイのインブリードを(クロス)を表記すると下記のようになります。
- Nureyev5×3
- Northern Dancer5×4
クロスを表記する時の数字については先に書かれているのが父系の代数、後に書かれているのが母系の代数を表しています。
まずは基本な血統表に書いてある同一名のクロスを覚えておきましょう。
得意なラップなどは血統の影響も強いので、興味のある方は一緒にご覧ください。
インブリードのデメリット
インブリードは能力を引き立たせたり強く遺伝させるために有効な手段で、実際にインブリード効果が表れていることは証明されています。
しかし、いいことばかりのように見えるインブリードにも、大きなデメリットがあることを忘れてはなりません。
インブリードの大きなデメリットは血が濃すぎると、体質の弱い馬が産まれたり、最悪の場合は死産することもあります。
インブリードのデメリットでも血の濃さが出ましたので、少し血量についても勉強していきましょう。
先ほどのアーモンドアイの血統表に戻りますが、アーモンドアイの1世代前というのは両親のロードカナロアとフサイチパンドラです。
血量で見るとアーモンドアイの血統はロードカナロア50%とフサイチパンドラ50%という意味になります。
もう少し踏み込んで2世代前、3世代前と遡っていくとこのような血量になります。
- 1世代前 50%
- 2世代前 25%
- 3世代前 12.5%
- 4世代前 6.25%
- 5世代前 3.125%
ここで血量と大きく関係するのが、先ほど勉強したインブリード(クロス)です。
Northern Dancerのクロスは5×4だったので、血量は3.125+6.25=9.375%となります。
この9.375%がアーモンドアイの中に流れているNorthern Dancerの血量になります。
危険な血量で有名な馬としては凱旋門賞で活躍したエネイブルはサドラーズウェルズ2×3なので、37.5%というかなり危険な配合です。
ただ、エネイブルの場合は成績が優秀ですが、普通だったらかなり体が弱いか死産している可能性が高かったと言えます。
また、昔のフランスの競争馬でコロネーションという馬がいたのですが、Tourbillion2×2という普通じゃ考えられない配合の馬もいます。
血量が50%というかなりの濃さでしたが、コロネーションに体の弱さは見られませんでした。
しかし、かなりの気性難に加えて先天性の生殖能力に問題が見つかり、種牡馬となった後も死産と不受胎を繰り返していたので、種牡馬として子孫を残すことなく牧場から追い出されてしまいました。
血統を活性化させるアウトブリードとは
アウトブリードとはインブリードと反対の意味を持ち、血統表に同一の馬がいないことを言います。
4代や5代血統表が一般的になっているので、5代前を遡っても同一馬がいないことはアウトブリード(異種配合)ということになります。
アウトブリードの目的としては血統を活性化させることですが、インブリードのサラブレッドが多すぎると能力が固まってきてしまい、将来的な競馬の発展は乏しくなってしまうのも理由の一つです。
また、アウトブリードで代表される配合方法が先ほど説明したニックスという配合になります。
アウトブリードの最大のメリットはインブリードのデメリットである、気性難と健康について心配する必要が無いということです。
それとハーツクライやディープインパクトもアウトブリードから輩出された名馬ですので、インブリードよりもアウトブリードの方が大物が多いと個人的には感じています。
血統勉強講座 基礎入門編 まとめ
今回は血統講座ということで、血統を知らない方や競馬初心者の方に向けて解説させていただきました。
今回の記事内容としては血統表の見方、配合についてがメインになりましたが、まだまだ深くまで説明できていない血統理論の部分も多く、今後はそこも含めて説明しながら記事にしていこうと考えています。
また、種牡馬別、牝系別などそれぞれの特徴なども血統講座シリーズとして続けていき、少しでも皆様の予想や競馬への理解に繋げられればと思います。
血統を知っているか知らないかでどれぐらい馬券収支に影響するかは未知数ですが、突き詰めればマイナスに働くことはないでしょうし、何より競馬自体が血統を知っているとより楽しいのは間違いありません。